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 これが、介護家族の気持ちです。その②
2010年07月11日 (日) | 編集 |
ではでは続きです。

前回書いたようないきさつもあり、
私は母を母として愛することが出来ませんでした。

そんな母がアルツハイマー型の認知症になりました。
「どこまで私を苦しめるの」
そう考えることしかできませんでした。
元々の病気の症状が、認知症によって更にひどくなります。
手には負えません。私の方が気が狂いそうになります。

「もう家族でみる限界はとうに超えています。入居を考えましょう。」
最初に入居を言いだしたのは、ケアマネさんでした。
その様な状態でも、私の中にはまだ入居という考えはなかったのです。
それは、世間体でも何でもなく(親せきにも入居を勧められていた)
家が大好きで家から絶対に離れない、家以外では寝られない母を
家から離すなんて考えられなったからです。
家で私が介護したい、というのではなく、
家や家族がわかるうちは、家に居させてやりたかったからです。
これほど好きな家から出すなんて、かわいそうでならなかったのです。


愛せない母でも母は母。
憎しみや恨みが無いと言えばうそになります。
しかし私を産み、育ててくれた、たった一人の
かけがえのない母には変わりがありませんでした。


思いきれない私の背中を押してくれたのはケアマネさんでした。

グループホームの空きがあり、もうここで決めるしかない、その瞬間にも
私は非常にためらいました。
でももう確かに、これ以上家で介護が出来る状態ではありません。
決心し、申込書を書きました。

「私が決めた。」
たとえようも無い大きな罪悪感がのしかかってきます。
「今なら、断れる。」
何度もそんな気持ちが頭をかすめます。
でももう確かに、家族の疲れは限界を超えていました。

その日いつもと変わりなく、デイサービスから返ってきた母。
私は母の顔を、まっすぐ見ることが出来ませんでした。
明日は、母がこの家で過ごす最後の日。
生きて再び母がこの家に戻ることはもうありません。
母にとって、最愛の我が家との、今生の別れです。
そして、そうしたのは、ほかならぬ私なのです。

入居当日、グループホームに行くとは告げず、連れて行きました。
後で私が迎えに来ると信じて疑わない母は、車に自分の荷物を置き
「荷物は置いとくわ。迎えに来る時持ってきてね。行ってきます。」
と言ってグループホームに入って行きました。

「なんてことしたんだろう。私は・・・」
冷酷な、鬼のような娘に、自分自身が感じられました。

ただただ母に申し訳なく、自分を責める気持ちが
どんどん、どんどん湧いてきます。

母のいない家はがらんと広く、静かでした。
息子が一緒に居てくれたのがせめてもの救いでした。
かろうじて平静でいられたからです。
この時私は、今までの人生の中で、味わったことのない
巨大な罪悪感にとらわれていました。

その後しばらくは「荷降ろし症候群」とも「燃え尽き症候群」とも言われる
状態になりました。
家事も仕事も手につかず、家族に話しかけられても気がつかず
ぼんやりと部屋に座ったままでした。
半世紀ミシンを踏み続けた母は、認知症になってもミシンを踏み、
縫うものは元気なころと変わりのない素敵な出来栄えでした。
そんな、母の縫ってくれた小物や服を見ると、涙が止まらなくなりました。

母は幸いグループホームが合い
家に居たころより格段に状態が良くなりました。

「お母さんに、最高のプレゼントをしましたね。」
と、ケアマネさん、親戚、家族の会の皆さんなど
多くの方に言って頂きました。
私もそう思います。

しかし、今でもやっぱり心の中に罪悪感が残っています。
それはきっとどんなに良い結果であってもそうなのでしょう。

精一杯、その時の自分に出来る最善を尽くしたとしても、
やはりどこかに悔いが残る。
それが介護だと、聞いた記憶があります。

家族を施設に入居させる。
それぞれの家族に、それぞれの事情がありますが、
苦しみぬいた末の、苦渋の決断だということには変わりありません。
喜んで家族を施設に送る家族はいません。
様々な葛藤があり、迷い、悩み、罪悪感にさいなまれながら
それでももう、他には選択肢がない。
そんなぎりぎりの状態で、ようやく決断するのです。
家で一緒に生活出来るのなら、一緒に居たいのです。
だってもう、人生の最後なんですもの。
家族なんですもの。

母とは、普通の親子関係を持てなかった私でさえそうでした。
仲の良い家族であれば、なおさらでしょう。
その苦しみは、察するに余りあります。

ネットの書き込みで見た「施設に入れっぱなしの家族」
といった様な表現にはとても傷つきました。
そこまでに至る背景があることを知ってほしいと感じ長々と書きました。

家族の気持ちを少しでも理解して頂けたら幸いです。





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